ブレない男たち
今、時代のリーダーに求められるのは、強い意志をもって物事を成し遂げる力だ。周囲に惑わされない“ブレない自分”でありたいと誰もが思う。所属チームや日本代表でキャプテンを務め、組織をまとめてきた宮本恒靖。彼の毅然(きぜん)とした、そしてブレない姿勢は、まさに理想のリーダー像である。 |
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「プレーする上では、積極性を持つこと、そしてミスを恐れないことです。“自分は上手くやれる”というイメージを持つことも大事です」 1997年に開催されたFIFAワールドユース選手権。国際大会のベスト8まで進んだ激闘の中で理想的なプレーができたことが、その後のサッカーへの取り組みに影響を与えたという。 「不安を抱えながらプレーすると、心のどこかに迷いが出てしまいます。だから余裕が大切なんです。練習が始まる一時間半前にクラブハウスに入って準備します。そして夜寝る前にはその日のプレーや練習を思い返し、ベストを尽くしただろうか? と自問自答をしています」 ストイックな完璧主義者。そんなイメージが強い宮本は、プライベートな時間でさえも「何もせずボーッとするというのは苦手ですね」という。 「何となく時間が流れるというのが好きじゃないので、たとえ旅先でも何もせずに過ごすということができない。自分の中で作ったリズムを崩したくない のでしょうね。普段もつい時計を見てしまう癖があります」 試合中であれば、時計を見るという行為は、別の重要な意味を持つ。 |
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「サッカーは流れを読みながら、試合を俯瞰(ふかん)で見なくてはならないので、時計を見ながら試合をマネージメントしていきます。また、一瞬の判断が勝敗を分けるため、守備という確実性が求められるポジションでは、集中力を切らさないことが大事です。局面と残り時間に応じたプレーを心掛けています」正確な時間の管理術が必要ということだ。 選手として、キャプテンとして多くの経験から宮本が学んだのは 「ブレない姿勢こそが信頼を得るということです。練習でも、試合でも自分はこうだという信念を常に示すことです。そして、苦境にあっても、周囲への気配りを忘れず、かつ落ち着きを持って行動することですね」 |