2018.3.11(日) 14:00〜 明治安田生命J3リーグ 第1節 盛岡@吹田S
[プレビュー]若きガンバが迎える開幕戦。相性がいい盛岡相手に勝ち切りたい

今年はより、トップにつなげる育成にフォーカスしたい。従来までいたメンバーをどう活かすのか、松田や山口らルーキーをどう成長させるのかもU-23の目指すところ」と話すのは宮本監督だ。
完全分離制だった昨季、ユースの選手を起用するなどシーズン序盤はベストメンバーの模索に苦戦したガンバ大阪U-23だが、今季は「コンセプトもフォーメーションもトップと同じで戦う」(宮本監督)とキャンプから確かな積み重ねを続けて来た。
攻撃的なスタイルの再構築を目指すトップに選手を送り出すべく、個の成長を目指すガンバ大阪U-23だが「当然、結果にもこだわる。見に来て下さるサポーターに喜んでもらえるような攻撃的な姿を見せたい」と若き指揮官は盛岡戦での必勝を誓った。

オーバーエイジ枠を用いることもある今季のガンバ大阪U-23だけにメンバー起用は流動的だが、チームの背骨となるセンターラインは既に定まりつつある。
昨季チーム最多となる8得点をマークした一美は宮本監督が更なる成長を期待する一人。「去年は怪我で出遅れた分、開幕戦からしっかりとゴールを奪いたい」(一美)と和製エースはキッパリ。
そして中盤の底で攻守にハードワークする高も「開幕を待ちわびていた。トップの試合に絡めていない悔しさをJ3の試合でぶつけて結果を出す」と目を輝かせる。

昨季、ホーム・アウェイ双方で完封勝利を飾った盛岡は若きガンバにとって相性の良い相手だが、シーズン15位に終わり選手の約半数が入れ替わった。
2年目の指揮となる菊池監督のもと、「繋(つなぐ)」をチームスローガンにポゼッションサッカーを目指す盛岡。「去年の盛岡はボールをつないできた。ただ、去年とは違うメンバーになっていると思うし、沼津や大宮の選手が入って顔ぶれが変わっている」と宮本監督に油断は一切ない。
昨季終盤の6試合を負けなしで終えたガンバ大阪U-23だが、前線からの連動した守備と縦への鋭さは今季も変わらないコンセプト。「去年とは違うシーズンにしてみせる」と力強く言い切った高の言葉を盛岡相手に体現する。


アライバルインタビュー

ハーフタイムコメント
クロス・シュートの質を上げていこう
ホームでの残り45分、みんなで声を出して、思い切って戦っていこう

2018明治安田J3 第1節○3-2盛岡@パナスタ
2018シーズンのガンバ大阪U-23の戦いはホームで開幕。
スターティングメンバーには西野、菅沼、泉澤などオーバーエイジ枠の選手が名を連ねた。

試合は開始早々から立ち上がりの落ち着かない守備の隙を突かれ、5分、7分と立て続けに失点をしてしまう。
その後、徐々にガンバ大阪U-23がボールを保持する時間が増え、相手陣内でのプレーも増えていくが、シュートに持ち込める回数も少なく0-2で試合を折り返す。

後半開始から泉澤に代えて福田を投入。
後半もガンバ大阪U-23がボールを保持する時間が続き、攻勢を強める中迎えた66分。
食野の豪快なゴールで1点を返す。
72分には妹尾を投入し、さらに畳み掛けたいガンバ大阪U-23。
その妹尾が79分に放ったシュートがポストを弾き、こぼれ球を一美が押し込み同点に!
その後も再三に渡り相手ゴール前までボールを運ぶ迫力ある攻撃を見せると、
89分には食野が本日2ゴール目となる逆転弾を叩き込み、3-2で初陣を飾った。

[ 宮本 恒靖監督 ]
シーズン開幕戦というところで、「昨季とは違うシーズンにしよう」と試合前に選手に話をして試合に入りました。

そういう中で立ち上がり、4分ぐらいですかね、左サイドで押し込まれたシーンが続いて、そしてその後また失点というところで、やろうとしていることが出せない立ち上がりになってしまったのは悔いが残るところで、また0−2にもされてしまった。このあとどうなるかなと思って少し様子を見ていました。ただ選手は、去年のチームならもっと浮き足立ってしまって3点目を入れられるようなところがあったかもしれないが、今年は少しそれでも前に行くというところを少しずつ出していけていたので、1点取れてもおかしくない前半だった。

ハーフタイムにもう一度何をすべきかを整理して選手を送り込みました。そうしたら選手が本当にやるべきことをしっかりとやって、「質をとにかく上げろ」と言いましたし、相手よりも走らないといけない、ゴールに迫る勢いとかを出せた結果、3得点につながったと思います。

勝てたことは非常に良いことですが、試合を通じてもっと相手を上回ることを出す意味では、もっと選手には今日の試合を教訓にして成長してもらいたいと思っている。


[ 食野 亮太郎 ]
前半はなかなか思うようにプレーさせてもらえなかったが、後半少しオープンな展開になって自分の持ち味が出せるようになってきた。もっとゴール前で前半も惜しい場面があったし、そこをもっと決めていけるようにしていきたい。

−−2点とも食野選手の持ち味が出たが?
今年は目に見える結果を残そうということでシュート練習もたくさんしているし、いろいろなパターンのゴールを増やしていきたい。2点目はあそこでシザースをして相手がひっかかるということも頭に考えていたし、完璧なゴールでした。

−−決勝点となる自身の2点目は中央にフリーの選手もいたが?
パスはまったく考えていなかった。見えてなかったです。

[ 江 麗央 ]
最初は守備面をボランチ二人に要求されていたのでまずはそこを考えていたが、攻撃になったときは前に入ってシュートにも関わろうとコミュニケーションをとれていた。前半の出来は微妙だったが、後半はうまくやれた。

−−ボランチにコンバートされたばかりと思えないほど守備も良かったが?
そこはボランチというポジションで一番求められる部分なので、意識していたし、練習からやってきた結果、昨季よりボールも奪えた。

[福田 湧矢]
(流れを変えるプレーができたという手応えがあるのではないですか?)結果だけみたら、自分が入って逆転できましたが、まだまだ決められるチャンスはあったと思うし、一度えげつないふかしかたしたので…でもやっと勝つことができたので、それはよかったです。(得意なポジションでつかわれて躍動感も出た)あれが普通だと思うので、特にはそんなに何も感じていません。(J1も知っている経験は役に立ちましたか?)そうですね。J1ではいけないところをJ3ではいけるっていうのもあるので、今日は運べたシーンでも、J1だったらそれができなかったりもしたし…裏を返せばJ3だからこそ通用したというのはあると思いますが、それはJ1で得た経験値だと思います。(ボランチの一枚が攻撃に加わってくることでの攻撃の作りやすさみたいなのは感じましたか?)はい。それをしないと数的優位が作れないというか、ボランチがあってこそ攻撃も組み立てられるので、それがいまトップに足りないのと、あとはFWだったり裏に流れるシーンが今全くないので、そこにためを作れたら攻撃も作れるっていうのは今日の試合でたくさんそういうシーンがあったと思いますけど、それは改めて感じました。(トップ下に入ってからは明らかにゴールは強く意識していましたか?)そうですね。いちばん大事なのは結果だと思うので。この世界は。そこは前のポジションにはいればこだわりたいし、後ろのポジションをやれば失点ゼロっていうことは言われているので、まだ個人としての結果は何も出てないですね。(J1を戦っていると、スピード感の違いは感じましたか?)全然違いました。だから余裕持ってできるというか…前をむけるんだ、とか…J1ではそんな余裕ないですから。あんな普通に前を向けるシーンはほとんどないけど、J3ではそれができたりしたので。(寄せとかもボール奪取もすごくよかったけど?)そこも、J1だったらどうかっていうところだと思います。相手にかわされるっていうより、相手のボールの持ち方がうまくて、うまく寄せきれない感じが多いです。今日だと奪いにも行けるし、奪い切ることもできたけど。その辺は課題だと思っています。

[高 宇洋]
立ち上がりが結構チームとしてふわっと入ってしまって、前半で1点返せそうなシーンもあったんですが、返しきれずに、少しチームの弱さが目立った前半でした。でも後半選手同士でも声をかけあって、ツネさんとか智さん(山口智コーチ)とか声をかけてもらって、後半相手が足を止まるとも聞いていた中で、実際にそうなって、前の選手が3点取ってくれて勝てたのは良かったです。(前半押し込まれるシーンも多かった。何が原因ですか?)入り方をチームとして統一できていなかったので。相手が前からきた中で、もう少しダイレクトプレーを増やしていければ相手のやり方も変えられたと思うので、そういう戦い方の入りを改善していきたい。ただ、後半は本当にチーム全員で戦おうということで、トップがなかなか勝てていない中でU-23がサポーターに勝ちを届けられたというのは、自分たちに取って大きなアピールになったと思いますし、本当にいい試合ができて結果としては良かったです。

総評
宮本監督
シーズン開幕戦ということで、昨シーズンとは違うシーズンにしようと選手に話をして試合に入りました。
その中で、立ち上がり4分くらいですかね。左サイドのところで押し込まれたシーンが続いて、少しその後また失点ということで、立ち上がりはやろうとしていることを出せない立ち上がりになってしまったというところで、非常に悔いが残るところで。
0-2にされてしまったので、この後どうなるかなと思って少し様子を見ていました。
ただ選手は去年のチームならたぶんもっと浮き足立ってしまって、3点目を入れられてしまうようなところが
あったかもしれないですけれど、今年は少しそれでも前に行くというところを、少しずつ出していっていたので、
1点取れてもおかしくない前半だと思いました。
ハーフタイム、もう一度何をすべきかを整理をして、選手を送り込みました。
そして選手はやるべきことをしっかりとやって、質の部分でも前半を上回る、
質をとにかく上げろ、ということを言いましたし、
相手よりも走らなくてはならない、ゴールに迫る勢いであったり、というところを出せた結果が3得点に繋がったと思います。
勝てたことは非常にいいことだと思いますが、
やっぱり試合を通してもっと相手より上回るということを出すという意味では、
もっと選手には今日の試合を教訓にして、成長してもらいたいと思っています。


Q「ハーフタイムのところで質のところでどういうところを具体的におっしゃられたのか、あと、
去年、サイドで使うことの多かった江選手をボランチで起用されています。彼をボランチで使う狙いを教えてください。」

宮本監督「相手のペナルティエリア近くまでいってクロスまでいっているシーンがあったので、
クロスの質と、そこへの入り方、プラスセカンドボールを誰がどこで拾うのかというところをもっと突き詰めてやるというところを言いました。
江については、サイド、サイドバックでも、去年は左サイドでいいプレーを見せてくれましたけれど、
中盤のボランチで1次キャンプの時に少し起用してみたときに、
フィットする感じ、良さであるキックの良さであったり、運動量の良さが見られたので、
そこで少し使ってみたいと思って様子を見ていました。
そうする中で、セカンドボールに対する反応の速さであったり、相手からボールをかすめ取るようなところも
良さがみられるというところで、ある意味江にとってもそこは思ってなかったところかもしれないですけれど、
チャレンジだと思って今日はやってみました。いいプレーをしたと思っています。


Q「前半最後はいい形で押し込んで、サイドを崩すことが出来ましたけれど、
中、バイタルを使っていないところで、福田君を入れて修正をしたと思いますけれど、
福田選手を起用された狙いと、
去年までの違いとして、交代選手が充実しているなかで、
初瀬選手だったり絡みましたけれど、カードを切った手ごたえはいかがでしょうか。」

宮本監督「泉澤に関しては45分限定でした。福田に関しても45分ということで。
左サイドでプレーをしていなかったですね。今までガンバでは。
ただ試合前に話をしたときに左サイドで行くというところで得意にしているというところだったので、
それを披露してこいということで出しました。
良さである推進力が出て、中央のゾーンにボールを運んだりした。
それは盛岡が前半からかなりプレッシャーにきていたので、
そこで後半疲れもあり、疲労した分、間延びしたスペースを上手く使えたと思っています。


[レビュー]若きガンバが見せた反発力。劇的な逆転勝利で開幕戦を飾る

過去2シーズン、J3では3勝1分けと相性がいい盛岡をホームに迎えたガンバ大阪U-23。オーバーエイジ枠の西野や泉澤らも先発に名を連ね、充実の戦力で挑んだ若きガンバだったが、試合の入りで盛岡に主導権を握られた。
「高い位置でボールを奪ってからのショートカウンター」と菊池監督が振り返ったように、盛岡のハイプレスに後手を踏んだ選手たちは苦しい入りを強いられた。
5分に先制点を献上し、追う展開を強いられると7分にもクロス気味のボールが林の頭上を超えるアンラッキーな2点目に。わずか7分で2点のビハインドを背負ったガンバ大阪U-23だったが、選手たちに焦りはなかった。
去年のチームならもっと浮き足立ってしまって3点目を入れられるようなところがあったかもしれないが、今年はそれでも前に行くというところを少しずつ出して行けていた」と選手たちの成長を口にしたのは宮本監督だ。
不必要に前がかりになって盛岡に3点目を許すことなく、徐々にサイド攻撃から押し込む時間帯が増えて来たガンバ大阪U-23。前半終了間際には左サイドを完璧に崩し、食野がこの試合最初の決定機を迎えるが痛恨のシュートミスでチャンスを逃してしまう。

残り45分、皆で声を出して思いきって戦おう」。ハーフタイムに選手たちを鼓舞した宮本監督だったが、今季はサブメンバーに流れを変えうるカードが揃うのが昨季までとの違いである。
後半から福田を投入。前半見せていたサイド攻撃に加えて、バイタルエリアでガンバらしい崩しを仕掛けると「そこでタメが出来れば両サイドバックも上がれる」(宮本監督)と攻撃のバリエーションと迫力がアップ。
66分には「後半はオープンな展開になって自分の持ち味が出しやすかった」と食野が豪快なシュートでゴールをゲット。追撃の狼煙を上げたガンバ大阪U-23が完全に主導権を握り返すと79分には途中出場だった妹尾の強烈なシュートがポストを直撃。こぼれ球を和製エース、一美が蹴り込んで試合を振り出しに戻した。

開幕戦を見に来てくれるサポーターのためにも、前に積極的に攻めるサッカーを見せたい」(宮本監督)。若き指揮官の思いが凝縮したのが89分の勝ち越し点の場面だった。盛岡のFKをしのぎ、続くCKもはね返すと自陣深くから妹尾が絶妙のロングフィード。抜け出した食野が冷静にGKとの1対1を制し、ガンバ大阪U-23が劇的な逆転勝利を飾った。
取られたら取り返すのがガンバ伝統の攻撃サッカー。「弟分」は打ち合いを制し、3シーズン目のJ3で最高のスタートを切った。

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