2018.3.21(水 祝) 14:00〜 明治安田生命J3リーグ 第3節 秋田@吹田S
[プレビュー]ホームで目指す巻き返しの第一歩。昨年のJ3王者に若きガンバが挑戦者として挑む

J3に参戦して今季で3シーズン目。ガンバ大阪U-23として初の開幕連勝を目指したが、前節の鹿児島戦は「最初の2点に関しては試合に上手く入れなかった」と宮本監督が振り返れば、ゲームキャプテンの高も「前節同様、立ち上がりに失点したのが痛かった」と悔しげに振り返る。立ち上がりに若さを露呈。自滅に近い格好でビハインドを背負い、終止苦しい試合展開を強いられた。
昨季終盤から積み上げて来た無敗の流れがストップしたが、選手たちは既にホームでの巻き返しに向けて気持ちを切り替えている。

「次はホームなので連敗をしないようにしたい」(高)。出直しの一戦となる秋田戦は、若きガンバの現在地が問われる重要な舞台である。
秋田は去年のチャンピオンチーム。当然、継続している力はあると思うが、そこにいい試合をしたい」と宮本監督も気合い十分だ。
昨季はJ3で初優勝。派手さはないもののコレクティブなサッカーを志向する秋田は今季、J2昇格を目標にチームベースの大半を維持。新たにJ1やJ2の経験も豊富な選手たちを補強している。
「ホームでは勝てたけど、秋田はやはり強い。油断をすると立ち上がりに一気にやられてしまう」と警戒感を口にするのはホームで2得点を叩き込み、秋田撃破の立役者となった一美である。
攻撃面では良さも見せているガンバ大阪U-23だが、開幕からの明確な課題は立ち上がりのリスクマネジメント。2試合続けて序盤に連続失点しているだけに、まずは秋田相手にセーフティな試合の入りを心がけたい。

DFラインにはオーバーエイジの選手も起用している宮本監督だが西野は「僕らオーバーエイジの選手が使われた場合は、まずしっかりと守備陣を落ち着かせたい」と自らの役割をこう話す。
盛岡戦と鹿児島戦では序盤に相手のハイプレスに苦しみ、押し込まれる展開もあったガンバ大阪U-23。「こういう日程での連戦は初めてなので、気をつけて試合に入りたい」と一美も中3日の秋田戦をこう位置づけるが、昨季のJ3王者に甘さを見せれば、付け込まれるのは必至だ。
開幕戦では鮮烈な逆転勝利を収め、敗れたものの鹿児島戦でも2点のビハインドを追う時間帯に狙いとする攻撃は披露した若きガンバ。鹿児島戦に帯同しなかった食野も、2ゴールを叩き込んだ盛岡戦の再現を目指している。

「去年から積み上げて来た僕らのサッカーと、今のチームの方向性をしっかりとぶつけたい」(食野)。
目指すのは昨季、秋田の不敗記録をストップした万博記念競技場での再現だ。手強いJ3王者に宮本ガンバは挑戦者として挑む。


アライバルインタビュー

ハーフタイムコメント
・中盤のパスミスを減らそう。
・昨年の王者相手に良いゲームができているから、ゴールにこだわろう。

2018明治安田J3 第3節 ○ 2-1 秋田@パナスタ
開幕してここまでの2試合、立ち上がりに失点を重ねて試合の入り方に課題を残したガンバ大阪U-23。
今節は昨年のJ3王者・ブラウブリッツ秋田をホームに迎えて戦う。

そんな試合は序盤から落ち着いた試合運びを見せたガンバ大阪U-23が、懸念された立ち上がりの失点を防ぐと、15分。
中盤でボールを持った福田がドリブルで相手を1人抜き放ったミドルシュートがゴールネットを揺らし、今シーズン初の先制に成功する。
しかしその後24分、中盤のパスミスからピンチを招くと、すぐさま同点ゴールを決められ、1-1で試合を折り返す。

後半も終始ガンバ大阪U-23ペースで試合が進む中、福田とのワンツーから食野が強烈なシュートを放つなど、攻勢を強めるもゴールを割ることが出来ない。
78分には攻撃の中心として存在感を放った福田に代え森を投入すると、直後にその森が相手左サイド最深部からクロスを入れると、米倉が潰れて逸れたこぼれ球を一美が押し込み勝ち越しゴールを挙げ、試合はそのまま2-1で終了。
若きガンバはホーム2連勝を飾った。

[ 宮本 恒靖監督 ]
第1戦目の開幕と、2戦目の立ち上がりの悪さが目立っていた今季だったので、とにかく今日に関してはアグレッシブな形で相手陣内でボールを動かすような、相手がボールを持っているときもしっかりとプレッシャーを掛けられるような立ち上がりにしようという話をして、試合に入りました。選手がしっかりとそれを実行に移してくれたなと思っています。

入りも悪くなかったですし、(福田)湧矢の素晴らしいシュートが入るところまではまあまあ、理想的な立ち上がりになったと思います。ただ、少しのミスで同点になってしまって、ちょっと相手の勢いにのまれるような展開になりましたけど、全体的に悪くないという印象を受けた前半だったので、少しのパスミスであったり、じゃあ最後ボールをどこに入れていくのかというのが改善できればもっと良くなる、点を取れる後半になるという話をして選手を送り込みました。

選手は開幕戦の良いイメージが残っていたところもあると思うので、非常にアグレッシブな後半、戦いぶりを見せてくれました。さらに言えば、もっともっとシュートを打っていけるようなシーンもありましたから、そこは選手に求めながらやっていきたいです。


[ 食野 亮太郎 ]
今日はトップ下だったのでできるだけシンプルにしようと思っていたが、持ち過ぎる場面も多かったのでそこは反省しないといけない。

−−秋田相手に良い形で押し込む場面も増えたが?
自分がいるときはどんどんバイタル(エリア)で起点になりたいと思っているし、鹿児島戦は映像で見たが、なかなかバイタルに進入できていなかった。そこは監督からも言われていたところで、できるだけ簡単にさばいてゴール前に入ることを意識していた。

[ 福田 湧矢 ]
−−見事なプロ初ゴールだったが?
気持ち良かったです。でも、J3(での得点)なんで。あれだけトップでチャンスをもらっている中で結果を残せなかった自分が歯がゆいので、うれしさよりも(自分に)むかついている感もあります。

−−J1を経験しているだけに、そこがスタンダードになっている?
そうですね。1回経験しているし、あのJ1の舞台は忘れられないぐらいの楽しさがあるので、歯がゆいです。

[菅沼 駿哉]
2試合続けてああいう立ち上がりになっていたので入りは気をつけようということは言っていましたし、経験のあるヨネくん(米倉恒貴)が入ったことで、最初の立ち上がりも集中できたので良かったです。チームとしても3試合目で、ようやく自分たちの形もできてきた。まだまだミスは多いですけど、勝つことに対しての貪欲さみたいなところに若い選手が気づいてきてくれたところもあるので、自分もそこでもう少しコミュニケーションをとって、その重要性を伝えていくという作業もしながらやっていきたいと思っています。(去年の首位のチーム相手にしっかり結果を出せたのは自信に?)若い選手は戦い前に秋田のことを強い、っていう話をしていましたけど、実際に勝てたことによって自信もつけてくれたはずですがもう少しミスを減らさないと。今日のようにミスが多いままでは、ヨネくんとか経験がある選手がいなくなって、助けてくれる人がいなくなった時に、鹿児島戦のように難しい試合になってしまうので。もう少し自分たちのプレーにこだわってやっていこうということを僕自身も伝えていけたらいいなと思っています。

[林 瑞輝]
(アグレッシブな立ち上がりになりました)個人としては立ち上がりはシンプルにやるというのをいつもより強く心がけたし、全員がその立ち上がりのところについての意識はあったはずなので、それがこういう立ち上がりになったのかなと思います。(失点シーンについて)オム(山口竜弥)のパスミスで、スルーパスみたいになってタカくん(西野貴治)と僕が二人いた状況で…僕のイメージとしてはまずポジションをとり、そこからゴールを止めようというイメージだったんですが…。タカくんの股下を通ったけど、結果的に距離もあったし、僕がそこまでファーサイドを気にしなくても良かったのかな、っていう自己分析はあります。もうちょっと相手を観察してしっかりとしたポジショニングをとれていたら入れられずに済んだかなっていうのは感じました。細かいところですが、味方のミスと、自分のミスが2つ続いたので、そういうところがあるとヒガシくん(東口順昭)を超えられない。J3にはどのタイミングで出場するのかわからないですが、出た試合で日頃の練習の成果を出せるように、チーム全体を通して無失点がないし、今日も止めれそうな失点をしてしまったので、そこは反省したい。ただ失点の後崩れなかったのは意識したところだったと考えればそこまで悪い守備ではなかったと思います。

[西野 貴治]
今日は入りがよくて…2試合連続悪い試合が続いていて、それも監督には言われていたので、そこは選手も意識していたし、先制点もとれたので良かったです。(失点シーンについて。山口選手のパスミスから始まりましたが)そうですね。あのミスは流れがいい時間帯だったし、致命的ではありましが、そのあとも駿哉くん(菅沼)と僕の2枚いて、相手が1枚だったので守りきれる場面だったかなって思います。でも失点してもあまり受け身になったり流れが悪くなることもなく自分たちのサッカーを続けられたので、そこは去年のJ3の試合と違うところかなと思います。去年と比べてもよくなっていると思います。(そうなっている理由は?)点も取れるし、粘り強く…後半も流れはうちにある中でなかなか点は取れなかったけどそこでも粘りつよく続けられて、点を取れたのは良かったのかなと思います。あそこで去年ならあのまま点を取れないままずるずる守って、そこで失点もして、っていう流れになったけど、逆に今年はそこで点を取れるのは、U-23として成長できているところかなと。それによって後ろが我慢できるところもあるし、開幕の盛岡戦もそうでしたがヤン(高宇洋)とレオ(江麗央)のところがすごく二人でバランスをとりながらやってくれているので、後ろはすごく楽です。

[江 麗央]
(ボランチが効いている分2列目も機能しているし、チームとしてもいい形ができていますね)そうですね。前線の選手がああやって点を取ってくれるし、いい連動をしてくれているので、そこに自分たちはしっかりあわせて、ボールを回収して繋げていけたらと思っていますし、それは練習から意識してヤン(高宇洋)ともコミュニケーションをとりながらやっています。(去年はなかなかゴールが生まれない序盤だった。今年は前が取れていることで頑張るところもある?)そうですね。前の選手が…一美くん(一美和成)とか亮太郎(食野)とか、何かしてくれるっていうのが頼りになるというか、ボールを預ければなんとかしてくれるっていうのがあるので。でもそれも自分たちがボールを回収しない限りそこには繋げられないので、前線の選手のためにも、少しでも楽になるように俺とヤンで頑張ってボールを回収しようということは言っていますし、ツネさん(宮本恒靖監督)にもボールを回収することは求められているところなので、やっていかなくちゃいけないなと思っています。(ボールを回収した後、ギャップのところに食野選手や福田選手が入ってくるなど、そこの関係もチームとしてよくなっていますね)まあ、うまく亮太郎とかがパスコースを作ってくれるのでそこにしっかりつけるだけというか。まだミスがあるのでミスをなくして、ちゃんとつけれたらもっと点も取れるしチャンスも増えるかなって思います。

[山口 竜弥]
今日は試合前に宮本コーチからすごく立ち上がりのことを言われていて、そこはしっかりしようとチームとしても引き締めて入りました。(失点シーンのパスミスについて)あそこは…正直ボールをもらったときに緊張してしまって、パニクってしまって、ボールが強すぎてしまった。先発デビューだったからとか関係なく、ボールをもらったらやることは決まっていたのに、後ろでトラップしてしまったっていうところが自分の最大のミスかなと思っています。(J3リーグのスピード感とかはどんな風に感じましたか?)高校と違って、想像していた以上にプレスもすごくスピードを持ってやってきますし、もちろん強度も高いので。高校と違ってスペースを与えてくれないですし。そのスペースがない中でのプレーをもっと磨かないとダメだなって思いました。でもここで結果を出せないようではトップの試合にも届かないので、もっとそこは自分を磨いていかなければいけないと思っています。(そうしたスピード感の中でも自分らしいプレーを出すためにはどの部分を改善したいと思っていますか?)視野の確保とか、体の向きとか、ファーストタッチの置く位置とかを突き詰めていかなければ改善されないんじゃないかと思っています。(失点した後、少し慌てた時間帯もあったけど、自分たちのペースを取り戻して追加点を奪えた)チームメイトがそこで「切り替えろ」って声をかけてくれたし、そこで潰れちゃうとプロとして失格なので、そこは切り替えて次はどうするかっていうことを考えてやっていました。

総評
宮本監督
第一戦目の開幕、二戦目の立ち上がりのまずさが目立っていた今シーズンだったので、
とにかく今日に関しては、アグレッシブな形で相手陣内でボールを動かすような、
相手がボールを持っているときもしっかりとボールに対してプレッシャーをかけられるような
立ち上がりにしようという話をして試合に入りました。
選手がしっかりとそれを実行に移してくれたと思っています。
入りとしては悪くなかったですし、福田の素晴らしいシュートが入るところまでは理想的な
立ち上がりだったと思います。
ただ少しのミスで同点になってしまって、ちょっと相手の勢いにのまれるような展開になりましたけど、全体的には悪くないという印象を受けた前半だったので、
少しのパスミスであったり、ボールを最後どこに入れていくのかというところが改善できれば、
もっとよくなる、点を取れる後半になるという話をして、選手を送り込みました。
選手は開幕戦のいいイメージが残っていたところもあると思うので、非常にアグレッシブな後半戦いぶりを見せてくれましたし、
さらにもっとシュートを打って行けるシーンもありましたから、そこは選手に求めながらやっていきたいです。
3戦目を終えて、いろんなメンバーが変わった中ででも、選手達がそれぞれの課題にトライしながら、
試合を戦っているところが目立ちますし、それによって手ごたえを感じている選手もいると思いますし、
またさらに出番が来るような選手達もそのいい流れに乗ってもらって、
いいパフォーマンスを出してもらいたいと思います。
次、横浜は非常にコンパクトに戦っているいいチームなので、
いい戦いをしたいと思います。


Q「去年の首位のチーム相手にこういう戦いが出来たということは、メンバーは違いますけれど、
自信になりますか?」
宮本監督「去年から一緒にやり始めた選手の成長ぶりを見ても、そこは感じますし、
厳しい競り合いの部分で勝ち切れたり、ボールを奪ったり、
しんどい時間帯でも前に出て行ったり、そういう秋田の選手達もアグレッシブなところを持っていますけれど、
それを上回るところを見せてくれたというところで、何人かは非常にいいプレーをしてくれたと思います。
それを自信にしていいですけれど、まだまださらにというところもありますし、
それを求めていきたいと思います。


Q「福田選手がゴールを決めただけでなくて、かなり攻撃で彼の存在感というか、
攻撃の中心になってきていると思いますけれど、彼の評価と、
福田選手も必ずしも悪くなかったと思いますが、スパッと代えられて森選手を起用された
その狙いを教えてください。」
宮本監督「福田はもともと持っている良さ、ボールを持って前に運べたり、
守備に関しても厳しくボールを奪いに行って、奪いきれたりとかというところ。
プロに入って、キャンプ中くらいまではよく見えていたのが、
少し最近トーンダウンしていたので、
プレー面に関して少し試合前に整理をしたところもありましたし、
シンプルにするところと、どこでポジションをとってボールを受けるのかとかであったり、
ボールを運ぶとか、はたくとかの判断の精度を上げるというところで。
本人の思い切りの良さであるシュートが決まったところで、
のびのびとプレーをしてくれたと思います。
もちろん良さは後半もありましたけど、少し守備のところでの切り替えが遅くなったところもありますし、
エネルギー不足を感じたので、森もいい準備が出来ていたので、
入ってすぐにいいダイアゴナルのランニングをしてくれたと思っています。


[レビュー]昨季のJ3王者を撃破。若きガンバが確かな成長をみせつける

ガンバ大阪U-23にとって、秋田戦は昨季から積み上げて来たチームの成長が問われる一戦だった。
(福田)湧矢の素晴らしいシュートが入るところまではまあまあ、理想的な立ち上がりになった」と宮本監督も立ち上がりをこう評価したが、試合の入り方は間違いなく秋田戦のポイントの一つだった。

開幕から2試合、序盤に連続失点しているガンバ大阪U-23。相手は昨季のチャンピオンチームだけに不用意な入りが命取りになることは選手たちも自覚済みだった。
「チームとしても個人としてもアグレッシブに入るつもりだったし、こぼれ球やリスク管理をまず意識していた」と振り返るのは江とのダブルボランチで中盤を引き締めた高だ。突出した個はいないが、コレクティブに戦って来る秋田に対して、受けることなく戦う姿勢を見せた若きガンバ。そんなチームを高卒ルーキーが勢いづける。
15分、左サイドでボールを受けた福田はミドルレンジからためらいなく右足を振り抜いて、今季初の先制点をチームにもたらした。

過去2試合の反省を活かし、最高の滑り出しを切ったガンバ大阪U-23だったが、山口のパスミスから秋田得意のショートカウンターを許し、24分に同点ゴールを献上する。
鹿児島戦は敗れたものの開幕から随所で狙いとする攻撃を見せ始めている選手たちに焦りはなかった。鹿児島戦は不在だった食野と福田が、攻撃を牽引。「湧矢がタメを作ってくれるので僕もいい形を出しやすい」(食野)と自慢のパスワークで秋田を押し込む形が増え始める。
一方で「僕らがしっかりと最終ラインを支えたい」と西野が話していたように、最終ラインには西野や米倉らオーバーエイジ3人がさすがの安定感を見せ、秋田の攻撃陣に対して個の違いを見せつける。

ボールを持つガンバ大阪U-23、しのぐ秋田ーー。試合は拮抗状態が続いていたが宮本采配が後半、奏功する。78分、「湧矢はちょっと守備のところでの切り替えが遅くなったところもありましたし、ちょっとエネルギー不足を感じた。それに(森)勇人もいい準備ができていたので」とそれまで攻撃を牽引した福田に代えて、森を投入。そのわずか1分後、森が対角線に抜け出すランから左サイドを抜け出し、クロスを送ると米倉がシュート。一度は秋田守備陣に防がれたが、こぼれ球をエース、一美が押し込んでガンバ大阪U-23が勝ち越しに成功した。
終盤は秋田の粘りに冷や汗をかいた若きガンバだが、アディショナルタイムにも鹿児島戦で見せたような縦への鋭いカウンターを披露。最後まで勝利の執念を見せ続けた宮本ガンバが、J3チャンピオンに勝ちきり、4位に浮上した。

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