2020.2.23(日 祝) 14:00〜 明治安田生命J1リーグ 第1節 横浜FM@日産ス
[プレビュー]J1第1節 vs 横浜FM ―開幕ダッシュへの第一歩。前年王者に今季目指すスタイルをぶつけるのみ

タイトル奪還に向けた長丁場の戦いが幕を開ける。ルヴァンカップで既に公式戦初戦を戦っているガンバだが、リーグ戦は11年ぶりとなるアウェイ開幕で、横浜F・マリノスと対戦する。
この時期にレベルの高い相手とやれるのは今の我々の立ち位置を図ることが出来る」と前年王者との対戦を待ちわびるのは宮本監督だ。ルヴァンカップの柏戦では本来目指すハイプレスが鳴りを潜め、試合の入りに課題を残したガンバだが、攻守両面で完成度の高い横浜F・マリノスに対して、真っ向勝負で挑むつもりだ。

「柏戦で課題が出たのはリーグ戦の開幕に向けて良かった」と話すのは最終ラインを束ねる三浦である。高い位置からFWがプレスをかけ、全体がアグレッシブに連動するのが本来目指す守備のあり方。時にリスクを恐れない戦いも不可欠だ。
横浜F・マリノスの変則的な攻撃をチーム全体で抑える必要があるのはいうまでもないが、要警戒はやはり昨年のJリーグ得点王、仲川だ。直近の対戦3試合のうち2試合で失点を許している仲川は藤春でさえ手こずるスピードを持っている。
「一対一でも仕掛けてくるし、一本のパスに抜け出る上手さもある。仲川選手にはしっかりと対応したい」と藤春も気合十分だ。

一方、柏戦の反省を生かすべく、燃えている一人が小野瀬である。「ルヴァンカップの前半は積極性に欠けたので試合の入りからフルパワーで行けるようにしたい」と宮本監督も言い切るが、ハイプレスの先陣に立つのがFW起用された場合の小野瀬のミッション。GKとDFラインが攻撃の第一歩となる横浜F・マリノスだけに、いかにビルドアップを制限できるかは勝利のポイントになるはずだ。
そしてガンバ移籍後、横浜F・マリノス戦ではリーグ3試合全てで得点を奪っている小野瀬は「マリノスキラー」ぶりを見せつけるべく、燃えている。
「チャンピオンチームにどれだけやれるかという思いはあるし、自分たちの力を試す試合になる」(小野瀬)。

柏戦から一週間のインターバルを挟むガンバに対して、横浜F・マリノスはACLから中3日。宮本監督は相手のストロングポイントを「皆がハードワークをして強度の高いプレーをする」と警戒するが、日程的にはアドバンテージがあるガンバだけに、アグレッシブさでも上回りたい。
そしてルヴァンカップでも健在ぶりを見せた遠藤にとっては40歳最初のリーグ戦。ピッチに立てばJ1最多タイ記録になるが、背番号7が意識するのはあくまでもガンバの勝利のみだ。
「チャンピオンチームを倒しにいく」(遠藤)。難敵ではあるがガンバは敵地で一歩も引くつもりはない。



セカンドボールを拾うこと
奪ったボールを大事に
ペナルティエリア内の質を高めて追加点を狙う

2020明治安田生命J1 第1節 ○2-1 横浜FM@日産ス
いよいよ開幕を迎えた2020明治安田生命J1リーグ。
ガンバの開幕戦は前年王者の横浜F・マリノスとアウェイで対戦。

この試合で宮本監督はルヴァンカップ柏戦からスタメンを2人入れ替え、横浜FM対策として4バックを選択。
オ・ジェソクが右サイドバックに、そして遠藤がアンカーの位置に入り、21年連続の開幕スタメンでJ1最多記録に並ぶ631試合目の出場へ。
遠藤の記録に花を添える意味でも何としてでも勝利が欲しいこの一戦。
日産スタジアムに34,521名の観衆を集めた注目の一戦は14:03にキックオフ。

1分、宇佐美の落としたボールを倉田がダイレクトで狙う。
シュートは枠外に外れるも、ガンバがこの試合のファーストシュートを放つ。

3分には倉田のスルーパスに抜け出した宇佐美が左足で狙うも相手GKが左足でセーブ。
これも惜しくもゴールとはならないが、ガンバが積極的な試合への入りを見せる。

すると6分、相手DFに高い位置からハイプレスをかけるとGKのミスを誘い矢島がボール奪取。
これを最後は倉田が押し込みガンバが先制!
欲しかった先制点を奪ったのはガンバ!

その後は横浜FMも前線のスピードを生かした素早い攻撃で反撃。

15分にはゴール前でFKのチャンスを得ると、ティーラトンが左足で直接狙ったシュートは枠外へ外れ難を逃れる。

23分にはガンバにもセットプレーからチャンス。
左サイドのCKを宇佐美が蹴ると、キムヨングォンが頭であわせるもこれは惜しくもポストに阻まれゴールとはならず。

33分には井手口が相手GKが前に出ていたところを遠目の位置から狙うも朴も必死に戻りセーブ。

お互いにゴールに迫る場面を作りながら一進一退の攻防を見せるが、次のゴールもガンバに生まれる。

34分東口が前線へフィードを送ると、これが相手DFラインの裏に。
ハイラインの裏を取り、倉田が抜け出すとゴール前にマイナスのパス。
これを走り込んだ矢島がゴールに流し込む。
オフサイドの判定を巡りVARのチェックが入るが、得点が認められガンバが2-0とリードを広げる。

このまま前半が終了し、2-0とガンバがリードして後半へ。

後がない横浜FMは後半開始早々に決定機を作り出す。
46分、ガンバの右サイドを抜け出した遠藤がゴール前にパスを送り、オナイウ阿道が左足でシュートを放つがこれは枠外に外れる。

その後も反撃に出る横浜FMが次々とチャンスを作り出す。
ガンバDFの裏をつきゴール前でパスを繋ぐと、72分にマルコスジュニオールがフリーで放ったシュートは東口がセーブし何とか耐えるガンバ。
しかし、74分に横浜FMが1点を返す。
マルコスジュニオールがゴール中央でパスを受けると、反転し左足でシュート。
これがゴール左隅に吸い込まれ2-1。

その後も同点に追いつきたい横浜FMは積極的に攻撃を展開。
対するガンバは、75分に矢島に代えアデミウソン、82分に倉田に代え福田、
90分には疲れの見える宇佐美に代え渡邉を投入し逃げ切り体制へ。

アディショナルタイムにもピンチを迎えるも最後まで集中を切らせることなく守り切ったガンバ。
そのまま試合終了の笛が鳴り、前年王者の横浜FMに対し2-1で勝利。
9年振りとなる開幕戦勝利を挙げることができた。

[ 宮本 恒靖監督 ]

−−開幕戦ということで準備をしてきたと思うが、どこに重点を置いたのか。
昨年の開幕戦でも同じようにマリノスと対戦し、負けてしまった。まず勝ちを目標に置き、そこから逆算して対応策を練った。守備のやり方であったり、攻撃でもマリノスをどう攻略するかを考えた。具体的には言いにくいが、そういうところが出た試合だ。


−−柏と対戦したJリーグYBCルヴァンカップからシステムを変更したが、キャンプから取り組んできていたのか、このゲームでのアイディアなのかを教えてほしい。
両方だ。キャンプが始まる前から考えていたところもあった。ルヴァンの初戦の結果を受け、立ち上がりからアグレッシブでなかった。それを今年のベースでやっていくと伝えたが、それが出なかったのは残念だったが、結果を踏まえてやろうとしたのがあのような前半のスタートになった。


−−遠藤 保仁がJ1最多出場記録に並んだが、遠藤をスタメンに使った意図を。
ヤット(遠藤)がピッチにいるということで、試合が落ち着くと思っていたし、それを発揮してくれた。攻撃に時間を作ることが主な目的で、ヤットの力が必要だった。90分間は難しいかなと思っていたが、彼なりにしっかりと締めてくれた。経験でうまくゲームを進めてくれた。

[遠藤 保仁]
(J1最多出場タイ記録に並び)この日産スタジアムで横浜FMとの対戦がデビュー戦だったので、巡り合わせは感じる。試合中これまでのことを思い出すことはなかった(笑)。マリノスを倒すことだけを考えていた。(プロ入り後、この大記録を打ち立てるイメージは)なかったし、キャリア途中からもなかった。(理由を)挙げれば、100ぐらいあるので、言えないが、1つ言うと、いろいろな方がサポートしてくれたのは間違いない。チーム関係者も家族も知り合いも、自分がサッカーをする環境を整えてくれたのが大きな要因だと感じているし、感謝している。


−−アンカーとして、どんな役割を意識したのか。
チームとして、ボールを回す時間も少なかったし、もう少しボール保持率を高めたかった。どうしても先に点を取ると、若干引いてしまうところもあるが、それでもどういう相手あれ、ボール支配率で上回りたいとは思っていた。ただ、割り切ってやっていた部分もある。(前半途中、)横浜FMの9番(マルコス ジュニオール)の選手が横のスペースに流れると、スペースが空くので、(井手口)陽介がつく形を監督に了承を取った。


−−開幕戦で9年ぶりの白星スタートを切れた意味をどう感じているのか。
開幕戦で勝つことは非常に良いことだと思うし、最初の時期は結果が自信を与えてくれる意味合いもある。勝ってスタートできたことはチームにとって大きい。


Q「開幕戦であるこの試合への準備はどのようなことを重点的に行ってきましたか?」
宮本監督「昨年の開幕でも同じようにマリノスと対戦して負けてしまったというところで、まずは勝つということを目標にして、そこからの逆算で試合を見て、対応策を練ったところがあります。
もちろんそれは守備のやり方であったり、攻撃に関してもマリノスのやり方をどう攻略するのかということを考えました。具体的にはなかなか言いづらいところがありますが、そういったものが出来た試合かなと思います。


Q「フォーメーションをルヴァンから変えて臨んだのは、キャンプから考えて取り組んできたところなのか、それともルヴァンの結果を受けてのアイデアだったのか教えてください。」
宮本監督「両方ですね。もちろんシーズンが始まる前からそういうことを考えていたところもありますし、ルヴァンの結果を受けて、それは戦い方の部分で初戦に最初からアグレッシブではなかったところで、もう一度守備のところをトレーニングしたものがが今日の前半出たところもあると思いますし、それを今年ベースとしてやっていくことをキャンプで伝えた中でそれが出なかったルヴァンが残念ではあったんですけど、そういった結果を踏まえてみんながもう一回やろうという気持ちに持って行ったのが前半のスタートになったと思います。

Q「遠藤選手が今日でJ1最多出場記録に並びましたけれど、遠藤選手をスタメンで起用してピッチですごく声も出していらっしゃいましたけれど、そういった姿がチームにもたらすものはどういったものだと思いますか?」
宮本監督「ヤット(遠藤保仁)がピッチにいることで試合が落ち着くというところはあります。それを存分に発揮してくれたと思いますし、今日に関して言うと攻撃する時間を作るというところが主な目的でヤットの力が必要で、90分間は難しいかなと思っていましたけれど彼なりにしっかりと試合を締めてくれたところはありますし、その経験で上手くゲームを進めてくれたところはあると思います。

Q「マリノスのスピードある攻撃をいかに止めるかが大きなポイントで、それが見事にできたと思いますが、その辺のポイントを教えてください。」
宮本監督「スピードある攻撃に対して対応する練習の中で、回数をこなしてその状況に慣れるということは繰り返しやっていましたし、ギリギリのところで身体を投げ出したり、GKを含め一緒になって守るというような『必死さ』というのが今日あったのが、1点は取られましたけれど何とか最後2点目を取られなかった大きな理由なんじゃないかなと思います。

Q「交代のカードを切ったのが全て攻撃的な選手だったと思いますが、それは監督なりの最後まで戦い方を貫くというメッセージでもあったのでしょうか?」
宮本監督「2-0で折り返したハーフタイムに関しても3点目をどのように取るのかということを選手に伝えていましたし、たまたま2-1になった時の交代になりましたけれど、3点目をというところで、もちろんバランスを崩したくない部分もありましたけれど、今日の大きなテーマは『攻める』ということだったので、そういった選手交代になったのかなと思います。

Q「非常に狙いのハッキリしたゲームだったと思いますが、早い時間に1点取ったことで、やり方を変えることは良くあると思いますが、今日の場合、1点取ったことで試合に影響はありましたか?
宮本監督「1-0はそこまで意識をすることはなかったですが、2点取ってからの方がスコアに関しては気にしたところがありました。選手のコンディションであったり、選手がやり方であれば上手くいくというものを見つけてからは、できるだけその時間を長くというところでやり方を変えずにボールを奪う守備をしていくというのは今年のチームの大きなコンセプトとしてあるので、ボールを奪う高さは違えど、それは続けなければいけないということはハーフタイムに選手に伝えました。

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