2020.9.5(土) 18:30〜 明治安田生命J1リーグ 第14節 仙台@ユアスタ
[プレビュー]J1第14節 課題は攻め切る強さ。秋の反攻に向けて仙台戦で好スタートを切る
ガンバにとって8月は悔やまれる戦いの連続だった。前節はFC東京相手にミスで自滅し、3失点。浦和戦に続いて自ら流れを失った格好だが、リーグ戦1勝にとどまった8月に見えた課題は明確だ。
今季は複数得点が少ないのでそれを目指したい」と仙台戦に向けて決意を口にするのは宮本監督だ。
8月のリーグ戦5試合でガンバが2点以上を奪ったのは勝利した横浜FC戦のみ。相手の良さはもちろん消した上で、やはりガンバが目指すのは相手を攻め切るサッカーだ。
選手たちも課題は自覚済みだ。FC東京戦ではビルドアップでミスを露呈。不用意な形で失点はしたものの、ハイプレスと並んで今季のガンバが意識するのが丁寧なビルドアップからの崩しである。
最終ラインのミスがクローズアップされがちだが、組み立てのミスは「どこに中盤や前線の選手が顔を出せるか」(井手口)というチーム全体のミスでもある。3トップを採用する仙台も前線からプレスをかけてくるはずだが、前節の反省を活かしながら効果的にボールを運びたい。

ビルドアップが攻撃のお膳立てとするならば、そのお膳立てを得点に結実するのは前線の仕事である。
「FC東京戦では特に前半、後ろからボールを運んで崩し切る場面があって僕たちのリズムだった。その作れたチャンスの中で決め切れなかったのが自分たちを苦しめた」と試合を振り返るのはアデミウソンである。
シュート数では前節、FC東京を3本上回る15本を放ちながらも1得点。5試合ぶりにゴールを決めた宇佐美が本来の姿を取り戻し始めているだけに、やはりコンビを組むアデミウソンの更なる輝きが仙台戦でも不可欠になる。
ペナルティエリア内にどれだけ入っていけるか、相手のゴールにどれだけプレッシャーをかけられるのかにこだわりたい」と宮本監督も攻め切る姿勢を口にする。

現在暫定で15位の仙台は8月、リーグ戦1勝2分け2敗。しかし守備陣は大崩れしておらず、攻撃に課題を抱えている。今季未だホームで勝利がないだけに、強い気持ちでガンバに向かってくるはずだが、要警戒はかつてガンバでプレーした長沢の存在だ。高さに加えて、献身的にプレスのスイッチを入れる長沢は、左ウイングのゲデスと並んで封じたい選手である。
仙台の良さは消しつつも、今求められるのが攻撃で迫力を出し切ること。「出来るだけ自分たちがボールを握って、相手のピッチでプレーし、最後のフィッシュに持って行けるパスワークを見せる」(アデミウソン)。
ビルドアップの精度を高めながら、仙台の守備陣を突き崩す鋭い攻撃を披露すれば、自ずと4試合ぶりの勝利は見えてくるはずだ。


ハーフタイムコメント
コンパクトな守備をやり続けよう。
ハードワークを続けてセカンドボールを拾うこと。
しっかり戦えている。後半もう一度パワーを出して追加点を奪いにいこう。

2020明治安田生命J1 第14節 ○4-1仙台@ユアスタ
8月のリーグ戦は5試合を戦い、1勝1分3敗と波に乗り切れなかったガンバ。
月が代わり初めて迎える試合はアウェイ仙台戦。
9月攻勢に向け、巻き返しを図る意味でも仙台をしっかりと叩いて是が非でも勝点3を持ち帰りたいこの試合。
宮本監督はこの試合で前節からスタメンを2人変更。MFには倉田とJ1初先発となるルーキー山本が、そしてJ3リーグで5試合連続ゴールと結果を残し続けた18歳川アが初のベンチ入り。

試合はキックオフから仙台が勢いをもって入る。
受けに回るガンバは立て続けにCKのピンチを迎えると4分、この日2本目の浜崎のCKをアレクサンドレ デゲスに頭で合わされ失点。
開始早々に先制を許し嫌なムードになりかけるが直後の8分、この日がJ1初先発となる山本がミドルシュートを突き刺しすぐさま1-1の振り出しに戻す。

さらに14分には右サイドでCKのチャンスを得るとキッカーは宇佐美。
アウトスイングで入れたボールをニアで三浦がすらすと、ファーサイドで待ち構えたアデミウソンが頭で押し込みゴールを奪う。
4分の失点から10分間で立て続けに2ゴールを奪い、前半のうちに逆転し一歩リードを奪ったガンバ。

その後は一進一退の攻防を見せるが、徐々に試合は仙台ペースに。

16分にはFKのクリアボールを拾われ繋がれるとゲデスにシュートを許すが、これは東口がセーブ。
30分にも蜂須賀のクロスからゲデスにヘディングシュートを浴びるが、これも東口がガッチリとセーブ。
そして迎えた38分、相手CKからゴール前で競り合った小野瀬にハンドの判定でPKを与えてしまう。
絶体絶命のピンチだったが、この日再三のセーブでチームを救う東口がこの西村のPKもセーブ!
同点ゴールを許すことなく2-1とリードを保ったまま前半を折り返す。

両チームともに選手交代なく後半開始。

後半開始早々の49分には柳に左サイドを突破されクロスを上げられると、ゴール前でフリーになっていた西村に頭で合わせられるが、このシュートは枠を外れ難を逃れる。

後半も立ち上がりから仙台が優位にゲームを進めるが、68分にガンバがこの日最初の選手交代で、宇佐美とアデミウソンの両FWをチェンジ。
渡邉とパトリックを投入し、前線の選手を入れ替え試合の主導権を握り返す。
すると73分、相手ゴール中央にこぼれたボールを倉田が相手に競り勝ちマイボールにすると、冷静にDFを交わし右足でコントロールショットを放つ。
このシュートが見事にゴールに吸い込まれ、倉田の開幕戦以来となるゴールで3-1とリードを広げたガンバ。

2点のリードを奪い、優位に試合を進めるガンバはさらに85分に渡邉の突破からクロスを入れると、ゴール前でパトリックがつぶれたところを井手口が押し込みこの日4点目。
大量リードを奪ったガンバは88分には倉田と山本を下げ、尾とこの日がJ1デビューとなる川アを投入。
そのまま逃げ切りゲームを終わらせたガンバが、今季最多となる4ゴールを奪う快勝で4試合ぶりとなる勝利を挙げた。

[ 宮本 恒靖監督 ]
−−山本 悠樹選手の先発起用について。
今週の練習で矢島(慎也)がケガをしたので、そこを悠樹に務めてもらう判断をしました。

ボールを置ける場所を見つける良さや、守備面でもしっかり相手に食らいつきましたし、一定以上のものは出すと期待して送り出しましたが、ゴールを決めたあそこの高さまで行けたというのは良かったと思います。


−−勝利のポイントについて。
いくつかあると思います。先制をされて、そのあとにすぐ追いついたり勝ち越したりできました。選手は試合前からかなり気持ちが入っていましたし、ヒガシ(東口 順昭)のPK(ストップ)のシーンも、なんとなくこちらに流れが来ているとベンチから見ていましたし、2−1で折り返した後半の立ち上がりも、押し込まれたのですが、耐えて、前にフレッシュな選手が入ったことで、前線で収めたり、競り合いで勝ったりできました。

ベースに、選手がしっかりと全員ハードワークを、前半もそうですが、後半も最後までできたことが勝利につながったと思います。


[倉田 秋]
−−久しぶりのゴールについて。
自分の中でたまっているものがあったので、それがゴールで少しは解消されました。チームとしても、後半に相手に押し込まれる時間帯が長い中で、あの3点目がキーになると思ったので、それが自分で良かったと思います。

−−今季は先発、途中出場と起用が定まっていないことについて。
でも、時間に関係なく、出たときに自分が結果を残そうという準備をしてきました。でもここまで結果を残せなかったので途中出場が多かったと思います。今日は決めて勝てましたけれども、これを続けないとG大阪はライバルがいっぱいいて、またベンチに戻ることもあると思うので、今日は今日で終わった感じで、また次に向けて頑張ります。

[山本 悠樹]
−−Jリーグ初ゴールについて。
アンカーでしたが、ペナルティーエリア付近に入っていくことを試合前から意識していました。普段からミドルシュートの練習をしていて、相手が飛び込んでくれたので、切り返した瞬間にコースが空いているのが見えて、あとは力まずにしっかりと当てることだけを意識して振り抜きました。

−−宮本 恒靖監督から求められたことについて。
ビルドアップのところで中継役になることと、相手の関口(訓充)選手とか推進力がある選手に対して、まずは守備のところで負けないようにして、常に相手の脅威になれるようにと試合前に言われていました。

総評
Q「山本選手を起用した理由と同点ゴールを決めましたが、評価を教えてください。」
宮本監督「今週の練習で少し矢島が怪我をしたというところで、そこを(山本)悠樹に務めてもらうという判断に至りました。もちろんその、ルヴァン湘南戦でしっかりとしたパフォーマンスを出していたので起用するに至ったというところもあります。評価ですね?持っているボールを受ける場所、そこを見つけるよさであったり、相手のプレッシャーをいなす良さもありましたし、守備面でもしっかりと相手に食らいつくようなシーンもありましたし、まあ、一定以上のものは出すと思いながら期待をして起用はしましたけど、ゴールのところまで、あそこの高さまで行けたというのは評価したいなと思います。

Q「今日の勝利の一つのポイントとして東口選手がPKを止めたところかと思いますが、監督は今日の4得点をあげた勝利のポイントをどのようにお考えですか。」
宮本監督「いくつかあると思うんですけど、先制をされてそのあとすぐに点を取ったり、また勝ち越すという、選手が試合前からかなり気持ちが入っていましたし、ヒガシ(東口)のPKのシーンも何となくこちらに今日は流れがあるようにベンチから見ていましたし、2-1のまま折り返した後半の立ち上がりも少し押し込まれたんですけど、そこでしっかりと皆で耐えながら少し前にフレッシュな選手が入ったことで前線で収めたり、また競り合いのところで勝ったり守備のところでの良さが出たりとかというところが出たなと思います。ベースには選手が全員しっかりとハードワーク、前半もそうですけど、後半の最後も含めて前からボールを奪うというところができたところが良かった、4点に繋がったかなと思います。

Q「言える範囲で構いませんが、矢島選手の怪我はどれぐらいの重さでしょうか。」
宮本監督「ちょっと足首の捻挫ですね。

Q「そこまで時間はかからない感じでしょうか?」
宮本監督「とは思っていますけど、少しわからないです、今の所はまだ。

Q「前半はいいペースで入って後半は少し相手に押し返されたという点では前節と少し展開が似ていたと思いますが、そこからもう一度押し返せた要因は監督はどう感じられていますか。」
宮本監督「やはりちょっとロングボールが増えていたので、そこでパト(パトリック)、(渡邉)千真のところのパワーでうまくセカンドボールを回収できるところにつなげていけたのと、守備の部分でサイドバックの選手に対しての守備がこちらの、後ろに引くのではなくて、引いて守るのではなくて、前にしっかりとプレッシャーをかけて守るというところを皆が徹底した途中から。そこが少し流れが変わったポイントかと思っています。

Q「その中で倉田選手に久しぶりにゴールが生まれました。おそらく倉田選手もなかなか得点に絡むプレーがなくて苦しんでいたところもあったと思いますが、監督はその間、どういう風にご覧になっていましたか。」
宮本監督「試合にスタートからいつも出ないという状況が(倉田)秋にとっては本当に久しぶりの状況で色々とコンディションの部分なんかは難しく感じていたようなので、それは個人的にトレーニングをフィジカルコーチとしたり、いろんな工夫をしていましたし。でも練習から見せてくれるパフォーマンスに関してはしっかりとしたものがありましたから、今日も本当にいい時間帯でああいうテクニカルなシュートを決めてくれてチームにとって大きかったと思います。

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