VOL.1 『ベルギー戦。』

松波「え〜忙しいのに、快く対談に応じていただき、ありがとうございます(笑)。今日は予定では、90分くらいの取材になると思いますが、よろしくお願いします。」

宮本「はい、よろしくお願いします(笑)。」

松波「まず最初は、記憶が薄れないうちに…ってだいぶん、薄れつつあるか(笑)…ワールドカップの話にしたいんだけど、いいかなぁ。とりあえず、初戦のベルギー戦から…いきなり嫌なこと言うけど、ベルギー戦は2失点だったよね? テレビで見てたら、その前のレアルとの親善試合とか、その後の試合…?」

宮本「ノルウェーかな。」

松波「そうそう、ノルウェーだね。俺ら的には、あの時の失点の教訓っていうのがあるんだろうなって思っていたから、ベルギー戦の時になんであそこで上げるんだよ〜っていうかね。僕もふくめて、現役の選手は特に『全く修正できてないんじゃないの』っていう風に見ていた人が多かったんじゃないかと思うんだよね。だって、ベルギー戦の2失点は練習試合と同じような感じだったでしょ?ツネは1失点目は出てなかったから何とも言えないと思うけど、2点目の失点時は出て直後だったよね??」

宮本「ベルギー戦の1点目は…俺にしてみたら、ファウルかなと思うんですよ。ただ、それは別として、すごく感じたのは、日本がかなり研究されてるなということ。もちろん、ディフェンスの立場からすれば、FWウィルモッツのシュート自体がうまかったっていう風にも感じたしね。でもまあ、2点目は完全に研究されていてやられたような失点やったからなぁ。確かにちょっとラインの上げ下げにこだわりすぎちゃうかったかなぁっていう気はするね。」

松波「ベルギー戦の前にいろんな話をして挑んだんでしょ?」

宮本「うん、ベルギー戦の前っていうより『かなり、研究されてくるやろうな』っていう話は3月のポーランドとの試合が終わった後に選手同士でやってたけどね。『今回はうまくいったけど、このやり方は、研究されたら危ないんちゃう』みたいな話をしてた。」

松波「監督は、常にラインをあげろって言ってるの? 」

宮本「うん、ちょっとでもあげろって感じやね。 」

松波「あ、そう。」

宮本「だから、トルシエはベルギー戦が終わってから『あれは、オフサイドをとってくれなかった線審にも問題がある』っていうような言い方をしてたよ。」

松波「昌雄(DF木場昌雄/G大阪)が試合を見に行ってたらしいねんけど、昌雄が言うには、あれはボールがないところで完全にツネが抑えられてたと。だから、『あれを押さえれてなかったら大丈夫やったんちゃう?』って…そのへんはどうなん?」

宮本「確かに抑えられたっていうか…身体入れられてんけど、それがホンマにわざと入れたんやったら…すごいよね。」

松波「まあ、ちょっと反則ぎみやったけどな? 」

宮本「うん…でも、あれはファウルはとられへんでしょ。 」

松波「でもさぁ、ワールドカップっていう大舞台で、途中交代での出場でしょ? かなり緊張感があったんちゃうん? いつ以来の緊張? 」

宮本「そうやなぁ、シドニー五輪のブラジル戦かな…。でもあれは、緊張っていうよりずっと試合をやってなかったら『動けるんかな』っていう不安っていう感じやったけど…。でもベルギー戦での緊張感は一気にきたっていうか…。『ああ、そろそろ出番かな』っていう風に徐々に緊張するんじゃなくて、ああいう風に急に出番が来て、短時間で緊張するのとは全く違うよ。あれだけ短い時間で気持ちを入れて、雰囲気に慣れなければいけないという状況は、自分にとっては初めてっていってもいいくらいの経験やったからね。」

松波「DFやし、あまり途中交代とかないもんね? 」

宮本「そやな。」

松波「でも、テレビで見る限りは、あまり緊張してる風には思えなかったけどね。それに、試合前に長いミーティングとかして、長い時間をかけて試合を迎えるよりも、『すぐ用意しろ』みたいに言われて出る方が、入りやすいんかなとも思ったりしたけど、どう? 心の準備が短いっていうのは難しい?」

宮本「そうかなあ。普段のJリーグとかの試合とは何かが違ってたしなぁ。観客の声も違ってたし、ピッチの上の空気も重く感じたっていうか…」

松波「勝ってる状況で出場したのに? 」

宮本「うん、なんて言ったらいいんかな。重圧を感じてたといえばそうなんかもしれん…。実際にピッチに出て、指示をしようとしてんけど、すごい歓声もあって何を言っても声が届かないしね。」

松波「6万くらい入ってたっけ? 」

宮本「確か5万ちょっとちゃうかな…ん? ということは昨日の浦和戦(7月13日/Jリーグ第9節、浦和対磐田戦/さいたまスタジアム/57902人)の方が入ってるな(笑)。でもね、やっぱり声が届かないっていうのは、何となく気持ち的に落ち着かないというか…。で、出場して直後の失点シーンやけど…実は俺のところにボールが来た時に、俺的にはスライディングぎみに左足でクリアしようとしてんな。イメージとしてはスローインにだしたかってんけど、それが後ろに飛んで…。で、そのボールを正剛(GK楢崎正剛/名古屋)が…俺としてはキャッチして欲しかってんけど、パンチして(笑)。『お前なんで、パンチするねん』って思ってんけど、後で聞いたら、もっと相手DFが来てると思ってたらしくて、取ったらガンとこられると思ったからパンチに逃げてスローインにしようと思ったらしいねんけど…。で、コーナーになって、嫌やなあって思いながら、それでも一旦クリアはしたんよね。で、もう一回最初からと思った時に失点…。」

松波「でも相手はたぶん、完全に狙ってたよね。あれはべルギーだからこそ出来たプレーじゃないかな。あの場面でもう一回繋げるのが、ベルギーらしいというか…。」

宮本「でもさ、さっきの昌雄の話じゃないけど、俺がもしガードされてなかったら、何とかボールを奪えたんちゃうかなって思うよ。マツは試合終わって『あの場面じゃ絶対に無理やろ』って言ってたけどね。ただ、俺としては走りこんで来るやつが角度的に目線の隅に見えてたし、『ああ、やばいな』って思った瞬間にバンってやられて…で、ワンバウンドして結構、いやな高さに来たからね。」

松波「それにしても、あのシーンで、それを昌雄が見てたっていうのが凄いね(笑)。普通はボール見てるのに、あいつは違うとこみてたわけだからね。」

宮本「生でそういうところを見てるねんもんなぁ。 」

松波「そうそう、テレビで見てたとして、リプレイとかで再度見て、そう感じることはあっても、昌雄は生で見ててそう思ったって言ってたからね。俺なんて、昌雄に言われたから、後からホンマかなと思ってビデオを見直してようやく、ツネが抑えられてたっていうのが分かったくらいなのに…(笑)。でもそれが普通やろ〜。しかもさ、昌雄はあのシーンを逆側のコーナー近くで見てたらしいからね。だって、イナのゴールを目の前で見たって言ってたもん…な? おかしいで、アイツはやっぱり(笑)。」

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