VOL.4 『予選突破。』松波「さてと。」 宮本「着々と質問は進んでるの(笑)?」 松波「一応ね、一応(笑)。え〜っと。ワールドカップ前の自分たちの中での予想というか…例えば、風呂に入りながら、とか、俺らはここまでいけるやろう、とかっていう会話はしてた?」 宮本「外から見ている人たちは、ベスト16は当然いってほしいなっていうのはあっただろうし、俺らもベスト16はいけるやろうっていう感じやってんけど、ベルギー戦を戦ってみて、ベルギーが思ったより強いなっていうのがあって…。チームの中では、俺らのグループの中で一番強いと思っていたのはロシアやっていう意見が多かったから、そういう意味ではたぶん、一番警戒していたのもロシアやってんけどさ…。だから初戦を終わった時点で、ちょっと気を引き締め直したっていう感じはあったね。俺はビデオを見る限り、もともと、ベルギーが一番強いかなって思っててんけど…。」 松波「なら、予選(First Round)突破っていう結果は集まった代表選手の中では当然の結果だったって感じ?」 宮本「うん、当然だった…ね。今回の代表メンバーは、それぞれ各年代の代表でワールドレベルの経験をした選手も多かったしね。それにしても、今思えば笑えるけど、ベルギー戦のミーティングは、やたらみんな堅かったですよ(笑)。 」 松波「そうなん(笑)。でも、ベルギー戦の、あの鈴木のシュートは難しかったよね?」 松波「そら、単純に、嫌やろ(笑)。でもさ、それでも彼を信じて使ったトルシエっていうのは、ある意味凄いって思ったね。まぁでも、俺は予測してたっていうか…鈴木は全然点を取ってなかったけど、そういう選手こそ、ワールドカップなんかの大舞台に立ったら、開き直って点を取るんじゃないかなって思ってて…。そしたら、あのゴールだもんね。」 宮本「例えばさ、今まで点をとってない自分っていうのが頭の中にいるわけやん? で、それでも試合に出るチャンスが巡ってきて、おまけに目の前にボールが転がってきたら……その時は、頭を過る?『あ〜俺は今まで決めてへんのにボールが来た〜』みたいな(笑)。」 松波「う〜ん、どうかな。でも、一瞬でも過っちゃうと、ゴールを狙える絶対的なチャンスでもキーパーにとられちゃったりする時はあるかも(笑)。ホント、悪い時ってそういう感じだからさ…練習とかで、ゴールがガラガラなのに、ヘディングしたらボールがポストに当たっちゃったり…。 」 宮本「じゃあ、逆に、ああいう鈴木みたいなシーンで、何も考えんと…って考えてたんかもしらんけど…(笑)、とりあえず、無我夢中で蹴ってしまいました、みたいなシュートの方がよかったりするんや? 」 松波「そうやね。まあ、俺は鈴木がどういうタイプなんか…考えるタイプか、開き直れるタイプか、点をとってないことに申し訳ないと思うタイプなのかは分からないけど、でも、よくあそこでメンタル的に自分を克服してゴールを決めれたなとは思う。それはあいつがブラジルとかで積んだ経験なのかな…。でもツネがいうように、確かにああいうシーンで良かったんかもね。例えば、イナのゴールシーンみたいに、キーパーと1対1になっちゃってたら、ガチガチになって外してたんちゃうかなって思う…。」 宮本「あのイナのシュートも凄かったけど、キーパーがもうちょっと我慢して待ってたら、とられてたかもしらんね。」 松波「そうやな。俺はむしろ、イナは外すと思ったけどね。1対1やったし…よう決めたよね。ええゴールやったと思うわ。そのイナってどう? 試合には出てなかったけど、アーセナルに行った経験を感じたというか…練習とかで何か変わったなって思うこととはあった?」 宮本「どうかなぁ。でも、最初に合流した時は、身体のフィジカルコンディションが良くなかったよね…っていうか、太ってた(笑)。本人曰く、2週間くらい試合をやってないって言ってたから、そのせいやと思うけどね。ただ確かに、イナも意識してやっているやろうけど、パスのスピードとかは速いレベルやったと思う。ゲームに入ってのコンディションは、最初は重そうやなっていう感じで、実際に45分で交代させられることが何回も続いたけど、その部分については、あいつもとにかく調子をあげていくことを考えてたみたいやし、その通りになったから良かったけど。」 松波「考え方と精神的な部分で変わったと感じたところはあった? まあ、ユースの先輩後輩の間柄やから、あんまり喋ったりしいひんか?」 宮本「ん、あんまり喋らんかったね。ただ、見てる限りではそんなに変わってなかったかな。相変わらず、ヒゲさわってたし…。」 松波「また、ヒゲ抜いてた(笑)?」 宮本「抜いてたよ(笑)。言うたろうかなって思ったたのに、言うの忘れてたわ…(笑)。」 松波「それにしても、今回のワールドカップでのイナの動きはボランチじゃなかったよね? 」 宮本「そうやね。でもイナはああいうのがいいと思うわ。後ろから攻めあがっていく、っていうスタイルが。そうそう! プレーで変わったなと思った面があったわ! 例えば、浩二からボールをもらって一旦、パッととめたあと、普通なら逆のサイドにロングパスを蹴りたがるタイプでしょ? でもそういうのが今回はあまりなくって、ボールをとめて、伸二(MF小野伸二/フェイエノールト)を使ってボールを動かして、すぐに自分が走るとか…。」 松波「あったね。でも、それはボランチのプレーじゃないよね。」 宮本「ん、だから、これはアーセナルのやり方なんかなって思った。でも相当しんどかったとは思うけどね(笑)。」 松波「まぁ、それも小野とかがボールを簡単に取られずにキープできるから、実現することだけど…。 」 宮本「ただ、ああやってイナが前線に出ていかなかったら…ヒデが2〜3枚でガチガチにマークされてたから、日本がゴールをきめるのは難しかったと思うよ。それにしても、あのロシア戦もよう決めたよね?」 松波「アイツは何で、あそこにいたん? 」 宮本「普通の流れからやったよな?」 松波「そう、それやのに、フォワードより前にいたもんね。でもああいう形になった時っていうのは、冷静だし、もともと技術力は高いからね。イナの独特のよさが出たよね。」 宮本「これは裏ネタになるけど、決勝トーナメント(Second Round)に行くことが決まった時にPK練習をやったらさ、アイツ全部、とられててんで(笑)。」 松波「まじで〜。それでも、イナのことやから、PKになったら一番に蹴りにいったんちゃうん(笑)。」 宮本「いや、絶対になかったでしょ(笑)。間違いなく、『お前、やめとけ〜』ってみんなに言われてたはずやわ(笑)。」 松波「でも、チュニジア戦を観戦した新井場(MF徹/ガンバ)いわく、あの試合は、全然やる気がなかったって(笑)。前には出ていかへんし、ボールはとられるし、かなり疲れてたんちゃうかなって言ってたよ。暑かったんかなぁ?」 宮本「確かに、前半は特に暑かった。でも、一番暑かったのはアップの時やったかな、ヤバいくらいの暑さで…。『こんな中でホンマに試合するん?』って感じやってんけど、後半になったら少しマシになって…それにしても、チュニジアは、もっと攻めてくると思ってんけどな。」 松波「いやぁ、悪いけど、チュニジアのサッカーじゃあ、勝たれへんよ。ガンバとも試合したけど、体調悪いっていうのを差し引いても、これなら日本代表は大丈夫でしょって感じやったもん(笑)。」
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